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2009年7月14日 (火)

TD-1001R開発物語8 開発コード DT-01Rの開発

『DT-01Rを開発する』

初期の書類の内容を見てみると、後に『TD-1001R』となるディーテクニックのチューニングカー構想が書かれています。NB6Cベースのロードスターチューニングカーを製作して、NB6Cの魅力を再確認してもらう企画で、2003年夏にスタートしたものだった。
このDT-01Rのスペックは、PCR車高調整式サスペンションキットを装着し、RAYS製CE28N 15インチホイールを装着、タイヤはブリヂストンRE-01、GLAD製オリジナルブレーキパッド、マキシムワークス製エキマニ、K&N製NB6C専用エアクリーナを装着、エンジンはハイコンプピストン、ハイカム、チューニングコンピュータを採用し、インテリアはエスケレートバケットシート、オリジナルのフロントバンパーを採用し、新たなロードスターの価値観を提案した『チューング・デモカー』でした。
しかし、これだけでは何かが足りないと感じていた私は、立花さんとの出会いで考えが変わっていきました。

ロードスターが大好きでたまらなかった私はNB6Cのチューニングだけが、なぜか元気がないのが気になっていました。
NB6C用専用マフラーはなし、マイナー後のマキシムワークス製のエキマニも予定はないとのことでした。NR-Aに参加した人たちはクルマを売却し、違うロードスターに乗り換えます。「一緒にレースを戦ったNR-Aをずっと手元において置けばいいのに・・・。ナンバーだってついてるのになあ。」と思い、私はパーティレーサーたちに聞きました。すると
「NR-Aは全くチューニングパーツがない。サスペンションもダンパーもNB8C用、エンジンも他はなんとかなってもエキマニがない。」という。チューンするためにはワンオフパーツばかりになってしまうというのです。確かにその通りでした。
NB3,NB4は特にエキマニに触媒が一体となっているため、スポーツ触媒付きのエキマニが必要。マキシムワークスに問い合わせても全く開発予定がないという。「チューンするならNB8Cをまず買うでしょう。そしてエキマニだからNB6Cは必要ないのでは?」どこに聞いてもそういう答えだった。
「違う!NB6Cのファンもいるんです。というよりもどのロードスターファンにも幸せになってほしいし、NB6Cは良い車です。もちろん他のモデルも好きですが、NB6Cはあまりにもかわいそうな子なんです。元気にしてあげたいんですよ!協力してください。」
エキマニを始め、エアクリーナ、サスペンションなどいろいろなパーツメーカーに交渉したが、スポーツパーツの需要が落ち込んでいることもあって、反応は良くなかった。「NR-Aを卒業した大人が、遊ぶためのチューンドパーツがあったらどんなに素敵なことだろう。今から5年後の2009年とか2010年にはきっとNR-Aの中古車が安く手に入る。それに吸排気チューンとサスペンションチューンして練習したら、そんなに安くて楽しいものはない。ドライビングテクニックを磨くならコレ!って言えるのになあ・・・。」
私は諦めずに交渉しました。
どこに行っても答えは同じ、「あなたもしつこいね~。やらないってば。NB6Cは!」どこも冷たい。なにか良い方法はないか?そんな中、サスペンションシステムには良い話が来る。PCRだ!アルミ製車高調整サスキットは、オリジナルセットでオーダー可能。私達の要望に応えてくれるという。
早速NB8C用を製作して、クリちゃんデモカーでテスト。その卓越したロードホールディング性は立花さんもその性能の高さに驚かれたほどでした。しかし、欠点がひとつだけ・・・コスト。価格が40万円以上してしまうものでした。そしてエキマニ、これもかなりの数をまとめて発注することで検討してもらえることになりそうでしたが、その数は30とも50とも言われ、かなりのリスクを背負うものでした。
「そうでしょう?パーツメーカーもそのリスクは避けたいんだよ。あなたが持つなら作ってあげてもいいですよ。」どこかではなく、様々なパーツメーカーのどこもそんな感じでした。ひとつには設立2年目の有限会社ディーテクニックの信用がまだまだだったのでしょう。全く先に進まない状況でした。

それでも、2003年末から2004年初頭にかけても筑波サーキットコース2000において様々なテストを行っていました。いつかチャンスは来るはずだと。

NB8CとNB6Cの比較テストではラップタイムの速いNB8CはPCRと吸排気系チューンで1分10秒台(軽量化+GTウイングなし)でした。NB6CのNR-Aで筑波スペシャルで煮詰めたものが1分12秒くらい。これは脅威のタイムで通常のNBチューンドカーも同じくらいでした。しかし、エンジン重量が20kg近く違うため、最終コーナーではNB6Cは軽快な4気筒とすると、NB8Cは6気筒か5気筒あるのではないかと思うほどノーズが重く、ブレーキングも厳しい。その代わりにストレートは速いというものだった。
もちろんコンパクトハイパワーとしては魅力的なのですが、このNR-Aのノーズの軽さは特に魅力的に感じました。そこで、究極の筑波仕様となったディーテクニックセットのNR-Aにチューニングパーツを装着すると、ラップタイムではっきりと出るのではないか?ということでいろいろとテストを行った。
エアクリーナやマフラー、サスペンション、ショックなど変更し、ベストな状況を探りました。重量も軽量化して良い場所とそうでないところの見極めが重要でした。そんなテストを繰り返す中、『やはりNB6Cの気持ちよさ』を伝えていきたいと思ったのでした。「裏側(シャシー)を見れば、あの発売当初のNA6CEと同じではないか!しかも細部が進化している。NA6CEの再来を作って、みんなをアッと驚かせたい。16年続いた『完成形1600』を出してみたい。NB8Cも魅力的だが、次のNCと言われるであろうモデルもその延長線上にあるのではないか?2000ccかもしれないと言われる排気量で出てきて、1800チューンドではどう頑張っても勝てず、発売後2年で、魅力が半減する可能性もある。」そう判断してライトウェイトな1600を素材として選択した。

まだこの時点では、『新車販売のコンプリートカー』ではなく、あくまでデモンストレーションカーとして、製作発表予定だった。

「もっと多くの人の心に響くようにするにはどうしたらいいのだろう・・・」毎日、考え、勉強の毎日が続いていた、そんな中、立花さんと出会い、講演会その他を行ったのです。

NB6Cに吸排気チューンを上手にバランスを取ると最高のフィールが手に入ることを私は知っていました。たくさんのお客様の中でもそのセットは、なかなかの出来栄えであると。これはNA6CEではエンジンルームのスペースの関係上難しい前方からのフレッシュエアの導入、ホットワイヤー式エアフロ、コンピュータ16ビット化などによって得られる高性能でした。
「NR-Aでレースをした人がそのクルマをチューニングして乗って欲しい。そしてそのパーツがあれば、普通のNB6Cオーナーも装着できる。そのためにないものをディーテクニックがリスクを持ってたくさん作る。」そんな企画だった。
しかし、リスクじゃなくて、本当に売れなそうです。「う~ん、中古車で作り上げてデモカーと同じ仕様で売ろうかな?ダメだ、スポーツ触媒付きのエキマニが必要なのはNB3、NB4だけだ。まだ中古車なんてない。新車だけ・・・。なんて不利なんだピンチ。ピンチはチャンスとはいったけど、そんな話ないじゃない。まさか新車で作って販売するわけにもいかないしなあ。でもデモカーだけのためにエキマニは作れない。30個以上ってなかなか大きな数だなあ。あ~~!でもNB6Cオーナーに喜んで乗ってほしい。NR-AやNB6C売って、乗り換えじゃ寂しい。NCが大成功しなっくちゃ、ロードスターの未来はない。NB8Cからの流れはきっとNCで良いものになるだろう。そっちはきっと上手く行く。そのためにはNA6CEからの流れの完成版をちゃんと仕上げて、1600最後の官能的なフィールを満喫できるようなマシンを創りたい!」
毎日毎日、夢の1600スポーツ!スーパー気持ちいいマシン創りに頭がいっぱいでした。立花さんが創っていたNB8CベースでMPSの延長線上ではなく、もっと全然違う形をしたものを想像していました。まだ全く立花さんとコラボレーションするとは考えていない2004年2月のことでした。

出来利弘

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