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2009年6月22日 (月)

Toshi の2009年スターマツダマシン選択の理由

P1000001 2009年モデルで挑戦を開始したのは私自身の選択。それが正しかったのかどうかはシーズンが終わってみないとわからない。
しかし、現状、大きな点だけ、ご説明しなくてはいけないと思い、ここに書きます。

新車の魅力は抜群の信頼性と剛性。これは後からでは買えないものだからだ。私はこのマシンで戦い抜いたあと後輩ドライバーたちを乗せる計画を実行したいと考えている。もちろん、今シーズンを私自身、乗り切れるかわからない状態。スポンサーの応援は必要だ。それでも5年以上使用する計画があるから、3年、5年落ちの中古車は将来が心配。更に未来は2009モデルでないと勝てない状況が予想される。

このフォーミュラ参戦の意義は本当に深い。それはまた機会をみてお話するとして、フォーミュラマシンというのはオーダーメイドの服のようなもの。靴かな?だからぴったりしていないと、上手く走って人に勝つことはできないのだ。旧型マシンはデビューしてから5年間、じっくり熟成され、毎年、コースレコードが更新されてきた。それほどデータが重要であり、細かい積み重ねによって性能を発揮するようになっている。新型が前半戦で苦戦するであろうことは予想がついていた。
チームオーナーのビル・ゴーシェンは新車に近い中古車を勧めた。それでも私は未来を見越して2009年モデルを選んだのだ。しかし、正直、これほど時間がかかってしまうとは思っていなかった。そろそろ挽回しなくてはいけない。時間がかかってしまったのには理由がある。チームは私のマシンに旧タイプのロッカーアームとプッシュロッドをインストールしたマシンで開幕戦に出場するように指示した。新型ハードモノコックに旧ロッカーは氷の上を走っているかのようなフィールで私たちを悩ませた。それを手ごたえのあるものへとセットアップを勧めては戻る。困難な状況が続いた。開幕から3戦とオーバル事前テストまではその状態で走行、出来ることは全てやった。「例え全てがうまく行ってもこの中からベストセットは生まれません!新車には新型ロッカー。基本に戻ってスタートしたい。」私はトップ15入り目前にして、全て一からやり直すことにした。スローすぎたその走りをもっとシャープに動く新型ロッカーのシステムにしたのだ。
他に新車を使っているところはJuncosのゼッケン13と23、JDCのゼッケン20、そして80の私だけだ。他の選手たちは新型ロッカーで最初からスタートしている。それでも全員下位からのスタートであったが、13のマイケルは先月のミルウォーキーテストでベストをマークして話題となった。しかし、このプラクティスでは不調を極め、私の3つ前のグリッド、20番はその後ろ、23は欠場した。マイケルは決勝は勢いを取り戻し、10位に入っている。新型はこれからなのだ。
ではなぜ、ワンメイクレースにも関わらず、モデルチェンジが行われたかははっきりと発表されていない。私ももっと同じようなマシンだと思っていた。パドックの噂では旧型モノコックはドライバーの膝下あたり、ちょうどハイノーズになるところにクラックが入ってくるらしい。ワンメイクレースでは補修も許されない(剛性アップ改造とみなされてしまう)ので交換などというとんでもないお金が発生する事例が多かったようだ。そこで新たに設計したモノコックは剛性アップされたものとなった。
実際コクピット内のアルミ補強まで太くなっている。つまり、センターがねじれないのだ。旧型はここをねじることで走りに粘りを出していたが、クラックを嫌った新型は過剰に剛性が高い。これまでのパーツをつけても旧型を超えられず、2008年に予定された投入は延期され、2009年に発売された。生産工場は変更され、新たにデザインが行われた(見た目は変わらず)モノコックの要求に対して、適切な新型ロッカー、プッシュロッド、前後のカーボンウイングなどが開発された。基本的にフロントがシャープで硬く、リヤがスローで柔らかい動きをするマシンとなっている。これまでのアメリカンスタイルのマシンコンセプトに比較して、かなりヨーロッパのフォーミュラを意識したものへと変更されてきた。しかし、開発側からすればなるべくパーツは作りたくないもの。必要になり、止むを得ず製作したというのが本音ではないかと思われる。

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それでも旧型の性能を上回れなければ発売しないとも思える。本当に性能が低いとこれから新車が売れなくなってしまうからだ。コンストラクターは新車に勝てる見込みがあるから発売に踏み切ったに違いない。この新型が旧型より遅いという状況は実はレースの世界ではよくあること。それはデータがないだけで、そのマシンにあったスイートスポットがどこかにあるはずなのだ。そして、これも知っておいてほしいのだが、「同じタイヤ」を使っている以上はそのタイヤの使い方が多少違ってもラップタイムが同じになるはずなのだ。だからタイヤをワンメイクとするレースは多少マシンの差があってもセットアップさえ合わせ込むと少なくとも予選は勝負になる(決勝でタイヤがタレ易いなどあるかもしれないが)。
2009年モデルで戦う選手はその開発能力がとても注目されている。そして突然13のマイケルのようにトップタイムを出す日が来る。そこでなぜ、トップに立ったのか?2009年の基本セットをかすめているがまだものにした人はいない。それを見つけたら、そのドライバーの評価、チームの評価に大きく影響する。これはF-1などと同様の新しいモノコックでの基本セットを見付け出すとても難しい作業だからだ。誰かがそれを見つけるとそこからはそれを真似して多数のライバルマシンと共に急激に進化を遂げるだろう。そのとき、もう旧型は有力ドライバーはだれも乗らない。そんなときがくるかもしれない。それは2010年か2011年か!?今、スターマツダは大変な過渡期にいる。外からは判らない複雑な状況と共に私のチャレンジは続いているのだ。これが事実。
今後どうなるかわからない。旧型にスイッチして、出ることも物理的には可能。しかし、それで本当にいいのか?目指すべきはそこなのか?自身の判断を問われる。 また私をデビューに導いてくれたカーナンバー80は大切な友達、家族だ。こいつも連れて表彰台に行ってやりたい。私は最後まで諦めず、『隠された宝石のセットアップ』を見付け出す!
その時、みんなは最高の笑顔をオレにくれるだろう!


レーシングドライバー 出来利弘

  

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